腹腔鏡下生検が鑑別に有用であった乳癌大腸転移の1例

乳癌消化管転移は初回転移では稀であり,消化管原発性腫瘍と鑑別が困難である.腹腔鏡下生検で鑑別可能であった乳癌大腸転移症例を報告する.症例は72歳,女性,腎結核による腎不全で透析中である.右乳癌(浸潤性小葉癌, T2N2MO: stage III) で胸筋温存的乳房切除術後9カ月目に右下腹部痛,便秘が出現した.注腸造影,消化管内視鏡,腹部CT検査で横行結腸転移が疑われたが確定診断は得られなかった.腹腔鏡で横行結腸脾彎曲部付近の壁硬化,腸間膜硬結,近傍リンパ節腫大を認め,腸問膜一部とリンパ節を採取した.組織検査から乳癌転移と診断した.乳癌大腸転移は初回診断が困難であり,内視鏡的生検でも鑑別不能な症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 9; pp. 2136 - 2141
Main Authors 大川, 由美, 三澤, 一仁, 田口, 和典, 菊地, 一公, 武田, 佳佐, 佐野, 秀一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.09.2006
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Summary:乳癌消化管転移は初回転移では稀であり,消化管原発性腫瘍と鑑別が困難である.腹腔鏡下生検で鑑別可能であった乳癌大腸転移症例を報告する.症例は72歳,女性,腎結核による腎不全で透析中である.右乳癌(浸潤性小葉癌, T2N2MO: stage III) で胸筋温存的乳房切除術後9カ月目に右下腹部痛,便秘が出現した.注腸造影,消化管内視鏡,腹部CT検査で横行結腸転移が疑われたが確定診断は得られなかった.腹腔鏡で横行結腸脾彎曲部付近の壁硬化,腸間膜硬結,近傍リンパ節腫大を認め,腸問膜一部とリンパ節を採取した.組織検査から乳癌転移と診断した.乳癌大腸転移は初回診断が困難であり,内視鏡的生検でも鑑別不能な症例が多い.腹腔鏡下の漿膜側生検で診断確定できれば,速やかに化学療法を開始し侵襲が大きい手術を避けることが期待できる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2136