人間ドックにおける乳癌検診の成績
乳癌は発見時の腫瘍の大きさ,所属リンパ節転移数などにより,外科治療後の予後が大きく左右されるため,早期発見,早期治療が重要である.今回われわれは1997年4月から2003年9月までの6.5年間の当院人間ドックでの視触診による乳癌検診の成績および外科治療を含めた臨床的検討を行った.総受診者数は15,683人で,平均年齢は51.4歳であった.要精検者数は543人(3.46%),乳癌発見数は15人(0.10%),陽性反応的中率は2.76%であった.最大腫瘍径が2 cm以下の乳癌は13例(87%)であった. 15例の組織型は硬癌が7例(46%),乳頭腺管癌が3例(20%),充実腺管癌が2例(13%),...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 1167 - 1170 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.05.2004
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.65.1167 |
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Summary: | 乳癌は発見時の腫瘍の大きさ,所属リンパ節転移数などにより,外科治療後の予後が大きく左右されるため,早期発見,早期治療が重要である.今回われわれは1997年4月から2003年9月までの6.5年間の当院人間ドックでの視触診による乳癌検診の成績および外科治療を含めた臨床的検討を行った.総受診者数は15,683人で,平均年齢は51.4歳であった.要精検者数は543人(3.46%),乳癌発見数は15人(0.10%),陽性反応的中率は2.76%であった.最大腫瘍径が2 cm以下の乳癌は13例(87%)であった. 15例の組織型は硬癌が7例(46%),乳頭腺管癌が3例(20%),充実腺管癌が2例(13%),粘液癌,髄様癌,小葉癌がそれぞれ1例(7%)と,低分化の硬癌が最も多かったが,リンパ節転移では12例(80%)が陰性であり,早期の乳癌が多かったことを裏づける結果であった.予後はn1βの1例が再発死亡した以外,現在無再発生存中である.発見乳癌に占める最大腫瘍径2 cm以下の乳癌の割合が87%と高率であったことは乳癌からの救命という乳癌検診の目的と合致しており,当院の乳癌検診の状況は妥当なものであると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.65.1167 |