デザイナー・ソイル技術の誕生 土壌をゼロから創製する

農耕が始まって1万年,食糧生産を支え続けた土壌.足下のありふれた存在である土壌.しかし土壌を人工製造する技術はなく,土壌を改善する「土づくり」では,堆肥を入れて耕すほかは,ミミズなどの土壌生物の成り行きに任せるしかなく,10年もの歳月が必要とされた.土壌の物理性,化学性,生物性をデザインすることは困難だった.それは,土壌微生物を土壌以外の媒体に移植し,活動させる技術がなかったから.しかしついに,非土壌媒体に微生物を移植し,活動させる「土壌化」の技術が誕生した.私たちの食を支える「土壌」を創出する技術は,農業を基礎から創りかえるポテンシャルをもつ....

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Published in化学と生物 Vol. 59; no. 3; pp. 144 - 150
Main Author 篠原, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.03.2021
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ISSN0453-073X
1883-6852
DOI10.1271/kagakutoseibutsu.59.144

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Summary:農耕が始まって1万年,食糧生産を支え続けた土壌.足下のありふれた存在である土壌.しかし土壌を人工製造する技術はなく,土壌を改善する「土づくり」では,堆肥を入れて耕すほかは,ミミズなどの土壌生物の成り行きに任せるしかなく,10年もの歳月が必要とされた.土壌の物理性,化学性,生物性をデザインすることは困難だった.それは,土壌微生物を土壌以外の媒体に移植し,活動させる技術がなかったから.しかしついに,非土壌媒体に微生物を移植し,活動させる「土壌化」の技術が誕生した.私たちの食を支える「土壌」を創出する技術は,農業を基礎から創りかえるポテンシャルをもつ.
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.59.144