クログワイの塊茎形成期間における遮光処理の強度と塊茎生産量

クログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の塊茎形成期間における吸収日射量を4水準の遮光強度処理によって抑制し, その地上部乾物生産を人為的に変化させることで塊茎生産量を抑制した。そして, 塊茎生産量と遮光強度との関係から塊茎生産機構を明らかにし, 塊茎増殖の抑制からみて有効な塊茎形成期間における防除対象について検討した。 遮光処理されたクログワイでは同化器官である茎の生長が抑制されることによる日射吸収率の低下と, 遮光による投下日射量の低下が相まって吸収日射量が相乗的に減少した。その結果, 塊茎形成終期における地上部重が大きく抑制され, 同様に塊茎/ (塊茎+地上部...

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Published in雑草研究 Vol. 46; no. 3; pp. 201 - 210
Main Authors 西尾, 和明, 杉山, 高世, 稲村, 達也, 吉田, 弘, 山本, 卓司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本雑草学会 2001
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ISSN0372-798X
1882-4757
DOI10.3719/weed.46.201

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Summary:クログワイ (Eleocharis kuroguwai Ohwi) の塊茎形成期間における吸収日射量を4水準の遮光強度処理によって抑制し, その地上部乾物生産を人為的に変化させることで塊茎生産量を抑制した。そして, 塊茎生産量と遮光強度との関係から塊茎生産機構を明らかにし, 塊茎増殖の抑制からみて有効な塊茎形成期間における防除対象について検討した。 遮光処理されたクログワイでは同化器官である茎の生長が抑制されることによる日射吸収率の低下と, 遮光による投下日射量の低下が相まって吸収日射量が相乗的に減少した。その結果, 塊茎形成終期における地上部重が大きく抑制され, 同様に塊茎/ (塊茎+地上部重) 比も抑制された。そのため, 吸収日射量が低下するにつれて塊茎生産量が顕著に減少した。しかし, 塊茎数も抑制されるため, 一個当たりの平均塊茎重に変化はなかった。そして, 全塊茎重に占める塊茎形成前の貯蔵炭水化物由来の割合は, 3~5%と推定され, 塊茎生産量は塊茎形成期間の乾物生産量と塊茎への分配率に強く支配されることが再確認された。 次に, クログワイでは塊茎形成期間における対無遮光区比でみた吸収日射量を単植クログワイで20%そして水稲との混植クログワイで40%まで抑制すれば, 塊茎形成期間に同化される炭水化物の塊茎形成への寄与はなくなる。そのため, 塊茎生産量は塊茎形成前の貯蔵炭水化物のみによって生産可能な水準まで抑制される。ここで明らかとなった防除効果は, 茎表面積を抑制することで同様に得ることができ, 防除の対象としては茎表面積が実用的と考えられた。
ISSN:0372-798X
1882-4757
DOI:10.3719/weed.46.201