高周波デュプレックス走査型超音波診断装置による透析患者内シャント血流の測定

透析患者にとって, 内シャント短絡量の過多は心不全の原因となるため, その測定は重要である。高周波数デュプレックス走査型超音波診断装置を用いて, 成人7例を対照とし, 透析患者25例の内シャントの短絡量を, 非観血的かっ定量的に測定し比較検討した。成人の橈骨動脈の血流量の平均は約50ml/min, 血管径の平均は約2.7mmで, 内シャント群ではともに有意に増加していた。シャントトラブルを有さない症例の短絡量は, 200~1000ml/minに分布し, 2000ml/minを越える2例に心不全症状が認められ, 100ml/min程度の2例に透析時の脱血量不足が認められた。側々吻合群は, 端々吻...

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Published in人工臓器 Vol. 16; no. 3; pp. 1580 - 1583
Main Authors 渡辺, 敢仁, 帆刈, 睦男, 太田, 秀男, 石井, 淳一, 川内, 章裕, 中嶋, 真, 久保, 田和義, 千葉, 芳久, 小池, 正, 高場, 利博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1987
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.16.1580

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Summary:透析患者にとって, 内シャント短絡量の過多は心不全の原因となるため, その測定は重要である。高周波数デュプレックス走査型超音波診断装置を用いて, 成人7例を対照とし, 透析患者25例の内シャントの短絡量を, 非観血的かっ定量的に測定し比較検討した。成人の橈骨動脈の血流量の平均は約50ml/min, 血管径の平均は約2.7mmで, 内シャント群ではともに有意に増加していた。シャントトラブルを有さない症例の短絡量は, 200~1000ml/minに分布し, 2000ml/minを越える2例に心不全症状が認められ, 100ml/min程度の2例に透析時の脱血量不足が認められた。側々吻合群は, 端々吻合群に比較し短絡量は高値をとる傾向がみられた。 高周波数デュプレックス走査型装置による内シャント血流測定は, 容易かつ非侵襲的であり, 透析患者の長期管理に有用な検査と示唆された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.16.1580