MRIにより治癒過程を確認し得た孤立性肝結核腫の1例

症例は72歳, 女性. 左頚部リンパ節腫脹で発症した孤立性肝結核腫の治癒過程を各種画像所見を中心に報告する. US, CT, 血管造影にて肝左葉内側区域に径5cmの腫瘤を認めた. MRIではT1強調画像で低信号, T2強調画像で高信号として認められ, Gd-DTPA静注で辺縁 および内部の網目状の隔壁が濃染された. 胸部および大腸に病変は認めず, 左頚部リンパ節生検および肝生検を施行し, 両組織において結核菌が確認された. 抗結核薬投与にて諸症状は改善し, 1年後には腫瘤の著明な縮小がみられた. MRIで治療前に高信号を示していたT2強調画像では, 等信号に変わっていた. 孤立性肝結核腫は比較...

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Published in肝臓 Vol. 40; no. 9; pp. 506 - 511
Main Authors 松本, 達彦, 森, 昌朋, 松崎, 豊, 斎藤, 修一, 堀口, 昇男, 新井, 弘隆, 高木, 均, 蒔田, 富士雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.09.1999
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.40.506

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Summary:症例は72歳, 女性. 左頚部リンパ節腫脹で発症した孤立性肝結核腫の治癒過程を各種画像所見を中心に報告する. US, CT, 血管造影にて肝左葉内側区域に径5cmの腫瘤を認めた. MRIではT1強調画像で低信号, T2強調画像で高信号として認められ, Gd-DTPA静注で辺縁 および内部の網目状の隔壁が濃染された. 胸部および大腸に病変は認めず, 左頚部リンパ節生検および肝生検を施行し, 両組織において結核菌が確認された. 抗結核薬投与にて諸症状は改善し, 1年後には腫瘤の著明な縮小がみられた. MRIで治療前に高信号を示していたT2強調画像では, 等信号に変わっていた. 孤立性肝結核腫は比較的まれな疾患であり, そのMRI所見の報告はきわめて少ない. 病期によって異なると考えられてきた孤立性肝結核腫のMRI所見が実際に確認されたので, 興味深い症例と考え報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.40.506