長時間大動脈遮断症例における順行性・逆行性併用cold cardioplegia の有用性

過去10年間に経験した4時間以上の長時間大動脈遮断症例30例を心筋保護別に分け検討した. 対象は crystalloid 順行性群9例, crystalloid 順行性・逆行性併用群5例, blood 順行性・逆行性併用群16例で, 大動脈遮断時間の平均はそれぞれ309分, 274分, 275分で, crystalloid 順行性群がやや長い傾向にあったが有意差を認めなかった. 病院死亡率, 低心拍出量症候群 (LOS) 発症率, 大動脈遮断解除後の自己拍動再開率において, blood 順行性・逆行性併用群が crystalloid 順行性群に比べ有意に良好な結果を得た. crystalloi...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 127 - 133
Main Authors 鎌田, 誠, 井口, 篤志, 東福寺, 元久, 横山, 斉, 秋元, 弘治, 近江, 三喜男, 田林, 晄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2000
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Summary:過去10年間に経験した4時間以上の長時間大動脈遮断症例30例を心筋保護別に分け検討した. 対象は crystalloid 順行性群9例, crystalloid 順行性・逆行性併用群5例, blood 順行性・逆行性併用群16例で, 大動脈遮断時間の平均はそれぞれ309分, 274分, 275分で, crystalloid 順行性群がやや長い傾向にあったが有意差を認めなかった. 病院死亡率, 低心拍出量症候群 (LOS) 発症率, 大動脈遮断解除後の自己拍動再開率において, blood 順行性・逆行性併用群が crystalloid 順行性群に比べ有意に良好な結果を得た. crystalloid 順行性・逆行性併用群と blood 順行性・逆行性併用群の間には, いずれの指標においても有意差を認めなかったが, blood 順行性・逆行性併用群のほうが良好な印象を得た. 以上より, 順行性・逆行性併用 cold cardioplegia 法は長時間大動脈遮断症例において非常に有用と思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.29.127