腹腔内出血を伴う自然破裂をきたした腎血管筋脂肪腫の1例

腹腔内出血を伴う自然破裂によりショック状態に陥った腎血管筋脂肪腫(腎AML)の1例を経験した.症例は32歳の男性,主訴は突然の腹痛,嘔吐であった. CTにて左腹部全体を占める15×13×10cm大の巨大腫瘤像と腹腔内に出血を疑わせる液体貯留像を認めた.検査中ショック状態に陥ったため,腹部腫瘤破裂による腹腔内出血の診断にて同日緊急開腹術を施行した.開腹時,血性腹水と左後腹膜に包まれた巨大な腫瘤を認め,腎動脈結紮までの間に,腫瘤被膜破綻部より多量の出血をきたした.腫瘍表面は平滑で腎と連続する被膜に覆われていた.内部は充実性であるが脆弱で,弾性軟の組織中に多量の凝血塊を認めた.組織学的には成熟脂肪細...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 2; pp. 480 - 484
Main Authors 田尻, 孝, 佐々木, 順平, 古谷, 政一, 柳, 健, 清水, 康仁, 坂東, 功一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.480

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Summary:腹腔内出血を伴う自然破裂によりショック状態に陥った腎血管筋脂肪腫(腎AML)の1例を経験した.症例は32歳の男性,主訴は突然の腹痛,嘔吐であった. CTにて左腹部全体を占める15×13×10cm大の巨大腫瘤像と腹腔内に出血を疑わせる液体貯留像を認めた.検査中ショック状態に陥ったため,腹部腫瘤破裂による腹腔内出血の診断にて同日緊急開腹術を施行した.開腹時,血性腹水と左後腹膜に包まれた巨大な腫瘤を認め,腎動脈結紮までの間に,腫瘤被膜破綻部より多量の出血をきたした.腫瘍表面は平滑で腎と連続する被膜に覆われていた.内部は充実性であるが脆弱で,弾性軟の組織中に多量の凝血塊を認めた.組織学的には成熟脂肪細胞を主体とする組織中に平滑筋の増生を伴う動静脈の増生を認め,腎血管筋脂肪腫と診断した.同疾患の腹腔内出血を伴う自然破裂は非常に稀であるため,若干の文献的検討を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.480