有限要素法による補助心臓用ポリウレタン弁弁葉の応力解析

補助心臓用ポリウレタン弁(PU弁)の破損について、理論的に検証する目的で有限要素法を用いたPU弁弁葉の応力解析を行った。人工弁の破損には、補助心臓内の人工弁閉鎖に伴って発生する水撃現象と弁開放時における弁葉の座屈が大きく影響するものと考えられる。静的解析では弁葉下部での最大引張応力、弁葉とConduitの接合部端付近での最大圧縮応力と最大せん断応力の発生、座屈解析では弁葉が座屈を生じる部分からの破損発生が明らかとなった。次に、弁前後の圧較差波形より弁葉に作用する動的な荷重下での動的解析を行ったところ、静的解析で明らかとなった応力集中部では、水撃発生によって弁葉とConduitの接合部端の応力集...

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Published in人工臓器 Vol. 17; no. 3; pp. 1112 - 1115
Main Authors 植木, 豊, 梅津, 光生, 内山, 峰春, 高野, 久輝, 土屋, 喜一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1988
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Summary:補助心臓用ポリウレタン弁(PU弁)の破損について、理論的に検証する目的で有限要素法を用いたPU弁弁葉の応力解析を行った。人工弁の破損には、補助心臓内の人工弁閉鎖に伴って発生する水撃現象と弁開放時における弁葉の座屈が大きく影響するものと考えられる。静的解析では弁葉下部での最大引張応力、弁葉とConduitの接合部端付近での最大圧縮応力と最大せん断応力の発生、座屈解析では弁葉が座屈を生じる部分からの破損発生が明らかとなった。次に、弁前後の圧較差波形より弁葉に作用する動的な荷重下での動的解析を行ったところ、静的解析で明らかとなった応力集中部では、水撃発生によって弁葉とConduitの接合部端の応力集中部では応力の変動が大であることが明らかとなった。これらは実際の破損例と見合う結果であり、その破壊に至るメカニズムは、座屈箇所の疲労により破壊応力が低下、水撃発生時に弁葉上の応力値が破壊応力を上回る時、一気に破壊するものであると考えられる。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.17.1112