肝硬変合併肝細胞癌切除時における脾合併切除の意義
1984年~1994年に当科で肝切除が施行された肝硬変合併肝細胞癌107例のうち術前血小板数10万未満を示した30例を対象とし,肝切除時に脾摘出が行われた12例(摘脾群)と脾摘出が行われなかった18例(非摘脾群)の2群について,背景因子,血液生化学所見の推移,術後合併症,術後再発率および術後化学療法への影響などを比較検討した.背景因子,術後合併症,術後再発率では両群間に差を認めなかった.肝機能の推移は摘脾群が良好であった.白血球数,血小板数は摘脾群で有意に増加したことより,術後化学療法に際して休薬した症例はなかった (0/9) が,非摘脾群では4例 (4/9) あった. 以上より,脾機能亢進症...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 931 - 935 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.04.1998
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Summary: | 1984年~1994年に当科で肝切除が施行された肝硬変合併肝細胞癌107例のうち術前血小板数10万未満を示した30例を対象とし,肝切除時に脾摘出が行われた12例(摘脾群)と脾摘出が行われなかった18例(非摘脾群)の2群について,背景因子,血液生化学所見の推移,術後合併症,術後再発率および術後化学療法への影響などを比較検討した.背景因子,術後合併症,術後再発率では両群間に差を認めなかった.肝機能の推移は摘脾群が良好であった.白血球数,血小板数は摘脾群で有意に増加したことより,術後化学療法に際して休薬した症例はなかった (0/9) が,非摘脾群では4例 (4/9) あった. 以上より,脾機能亢進症を伴う肝硬変合併肝細胞癌症例の肝切除時に脾摘出術を付加することは有益であると思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.59.931 |