Scimitar症候群の1例および91例についての文献的考察

Scimitar症候群は1960年Neilらにより命名された希な疾患で,右肺静脈が下大静脈に開口する部分的肺静脈還流異常の1型である.本症候群は胸部X線写真上右肺に異常還流をする肺静脈が形成する三日月刀状の血管影が認められ,多くの場合肺形成不全や心臓の右方転位または右方回転,および体循環系異常動脈の右肺侵入を合併する.われわれは上記の奇型のすベてが合併し,かつ肝奇型をも伴つた本症候群の1例を経験したので報告するとともに, 1971年までの報告例91例について文献的考察を行ない,本症候群を臨床的に三つの型,すなわち下大静脈に還流する右肺静脈が形成する三日月刀状陰影Scimitar signの存在...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 166 - 177
Main Authors 古賀, 秀隆, 籠手田, 恒敏, 呉, 谷喬, 木村, 南樹, 正, 直温, 藤原, 恒夫, 石崎, 驍, 中野, 正心, 原耕, 平, 筬島, 四郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1973
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Summary:Scimitar症候群は1960年Neilらにより命名された希な疾患で,右肺静脈が下大静脈に開口する部分的肺静脈還流異常の1型である.本症候群は胸部X線写真上右肺に異常還流をする肺静脈が形成する三日月刀状の血管影が認められ,多くの場合肺形成不全や心臓の右方転位または右方回転,および体循環系異常動脈の右肺侵入を合併する.われわれは上記の奇型のすベてが合併し,かつ肝奇型をも伴つた本症候群の1例を経験したので報告するとともに, 1971年までの報告例91例について文献的考察を行ない,本症候群を臨床的に三つの型,すなわち下大静脈に還流する右肺静脈が形成する三日月刀状陰影Scimitar signの存在を前提として,それに右肺形成不全や体循環系動脈から右肺への異常供給の合併の有無により, I型, II型, III型に分け,また心臓の右方転位の有無によつて各型をさらにa), b)に分類することを試みた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.62.166