補助人工心臓用ポリウレタン弁の慢性実験における評価
補助心臓用ポリウレタン弁(PU弁)の抗血栓性の評価を目的としたヤギの慢性実験を行なった。実験は4頭のヤギを用い、高流量バイパス群(%~4.5L/min)と低流量バイパス群(1.8~2.5L/min)の2群に分け、弁部に血栓が発見された時点で流入、流出両弁をポンプごと取り換えた。結局一連の実験で14個のPU弁を使用し、使用期間は5~60日であった。結果は以下のごとくである。1) 流出弁より流入弁の方が血栓ができやすい。2) バイパス流量が少ない方が血栓ができやすい。3) 血栓は弁葉とコンデュイットから成るポケット底部に発生し、3つの中では、ヤギに取付けた状態で下側部に位置するポケットに好発した。...
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Published in | 人工臓器 Vol. 17; no. 3; pp. 1116 - 1119 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1988
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Summary: | 補助心臓用ポリウレタン弁(PU弁)の抗血栓性の評価を目的としたヤギの慢性実験を行なった。実験は4頭のヤギを用い、高流量バイパス群(%~4.5L/min)と低流量バイパス群(1.8~2.5L/min)の2群に分け、弁部に血栓が発見された時点で流入、流出両弁をポンプごと取り換えた。結局一連の実験で14個のPU弁を使用し、使用期間は5~60日であった。結果は以下のごとくである。1) 流出弁より流入弁の方が血栓ができやすい。2) バイパス流量が少ない方が血栓ができやすい。3) 血栓は弁葉とコンデュイットから成るポケット底部に発生し、3つの中では、ヤギに取付けた状態で下側部に位置するポケットに好発した。4) 血栓の大きさは発見時巾0.5mm×長さ2mm程度であり、その後成長し、試験弁中最大の血栓は3mm×12mmであった。5) 本実験を通じて、PU弁の破損は全くみられなかった。6) 現在の弁の血栓発生の原因を検討した結果、製作工程、弁設計の両面から精度の高いPU弁の開発の重要性が示された。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.17.1116 |