胆管細胞癌を合併した自己免疫性肝炎の1剖検例

症例は51歳女性. 10年以上前より肝機能異常を指摘されるも放置, 7年前に当院にて自己免疫性肝炎と診断されウルソデオキシコール酸内服を開始, 以後近医で経過観察されていたがトランスアミナーゼは100IU/l前後で推移していた. 平成14年5月頃より腹水貯留, 黄疸が出現したため精査加療目的に当院入院. 右肝門部から前区域に存在し, 末梢胆管の閉塞を伴うびまん性腫瘍を認め, 画像所見から胆管細胞癌と臨床的に診断した. 全身状態が不良なため保存的に治療し, 入院1カ月後に死亡した. 剖検で胆管細胞癌の存在が確認された. 胆管細胞癌は最近ウイルス肝炎, 肝硬変との関連が考えられているが, 本症例は...

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Published in肝臓 Vol. 45; no. 6; pp. 313 - 319
Main Authors 市田, 隆文, 山本, 幹, 青柳, 豊, 野本, 実, 上村, 顕也, 佐藤, 明人, 高橋, 達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.06.2004
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.45.313

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Summary:症例は51歳女性. 10年以上前より肝機能異常を指摘されるも放置, 7年前に当院にて自己免疫性肝炎と診断されウルソデオキシコール酸内服を開始, 以後近医で経過観察されていたがトランスアミナーゼは100IU/l前後で推移していた. 平成14年5月頃より腹水貯留, 黄疸が出現したため精査加療目的に当院入院. 右肝門部から前区域に存在し, 末梢胆管の閉塞を伴うびまん性腫瘍を認め, 画像所見から胆管細胞癌と臨床的に診断した. 全身状態が不良なため保存的に治療し, 入院1カ月後に死亡した. 剖検で胆管細胞癌の存在が確認された. 胆管細胞癌は最近ウイルス肝炎, 肝硬変との関連が考えられているが, 本症例は自己免疫性肝炎の炎症のコントロールが不十分で肝硬変へ進展したことが発癌要因の一つになったと考えられ, Corticosteroid や免疫抑制剤による肝炎のコントロールの重要性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.45.313