ブラッドアクセスとしてのポリウレタン製人工血管(Thoratec Vascular Access Graft)の使用経験

1998年の1月から8月までに人工血管によるブラットアクセスが必要であった慢性腎不全患者16例にポリウレタン製人工血管であるソラテックTM人工血管(Thoratec Vascular Access Graft, TVAG)を使用し,その特徴および有用性について検討を加えたので報告する.その内訳は前腕ループ型1例,上腕ループ型1例,上腕ストレート型8例,大腿ループ型6例であった. TVAGは弾力性に富み,自己血管との吻合時に慎重な運針を要するが,血流再開後のTVAG壁からの血漿成分の漏出はみられず,術後のグラフト造設部位周囲の浮腫はすべての症例において認められなかった.さらに術後4日までには全例...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 4; pp. 915 - 920
Main Authors 岡, 良成, 田中, 紀章, 松田, 浩明, 宮崎, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.915

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Summary:1998年の1月から8月までに人工血管によるブラットアクセスが必要であった慢性腎不全患者16例にポリウレタン製人工血管であるソラテックTM人工血管(Thoratec Vascular Access Graft, TVAG)を使用し,その特徴および有用性について検討を加えたので報告する.その内訳は前腕ループ型1例,上腕ループ型1例,上腕ストレート型8例,大腿ループ型6例であった. TVAGは弾力性に富み,自己血管との吻合時に慎重な運針を要するが,血流再開後のTVAG壁からの血漿成分の漏出はみられず,術後のグラフト造設部位周囲の浮腫はすべての症例において認められなかった.さらに術後4日までには全例新しく造設したTVAGを穿刺して透析を行うことが可能であり,止血も容易であった.術後合併症は16例中2例に血栓形成を認めたが,容易に血栓除去術を施行しえた.今後,長期にわたり合併症や開存率の検討が必要であるが, TVAGは血液浄化法におけるブラッドアクセスとして有用であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.915