左心補助心臓停止時の血行動態変化の予測を目的とした血液循環系モデルの開発

左心補助心臓(LVAD)駆動時に左心の回復の程度の判断をどのように行なうかが, 現在臨床での問題になっている. 著者らは, 実際にLVADを停止することなく, LVAD駆動時の血行動態からLVAD停止後の血行動態の変化が予測できる血液循環系モデルの開発を行なった. モデルはLVADと生体心臓を模擬する3基のポンプ, 血管容量を模擬する5個のタンク, 血管抵抗を模擬する3個のニードル弁より機械的に構成し, またこのモデルには生体の自律神経系を模擬する2個のサーボ機構を付加した. LVADを装着した臨床において一時的にLVADを停止した後の血行動態の変化と, モデル上でのLVAD停止後の血行動態の...

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Published in人工臓器 Vol. 17; no. 6; pp. 1696 - 1705
Main Authors 内山, 峰春, 梅津, 光生, 野田, 裕幸, 高野, 久輝, 土屋, 喜一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1988
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Summary:左心補助心臓(LVAD)駆動時に左心の回復の程度の判断をどのように行なうかが, 現在臨床での問題になっている. 著者らは, 実際にLVADを停止することなく, LVAD駆動時の血行動態からLVAD停止後の血行動態の変化が予測できる血液循環系モデルの開発を行なった. モデルはLVADと生体心臓を模擬する3基のポンプ, 血管容量を模擬する5個のタンク, 血管抵抗を模擬する3個のニードル弁より機械的に構成し, またこのモデルには生体の自律神経系を模擬する2個のサーボ機構を付加した. LVADを装着した臨床において一時的にLVADを停止した後の血行動態の変化と, モデル上でのLVAD停止後の血行動態の変化との比較を行なった結果, このモデルは心拍出量±0.1l/min, 左房圧±2.5mmHg, 大動脈圧±5.0mmHgでの予測が可能であることがわかり, モデルにより予測した値を用いて臨床の場におけるLVAD停止の判断を行なう上で有用であることが確認された.
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.17.1696