慢性肝炎における肝細胞のポリプロイド化-Feulgen-DNA顕微蛍光測定法による解析

慢性肝炎非活動性(C.I.H.)16例,活動性(C.A.H.)37例,肝硬変(L.C.)24例,正常対照20例を対象に,Feulgen-DNA顕微蛍光測定法を応用して肝細胞プロイディの解析を行なった.この方法により,ヒト肝細胞の加齢に伴うプロイディ分布の変化および慢性肝炎におけるプロイディ分布の変動を詳細に検索した.正常人およびC.I.H.では,50歳頃までは肝細胞の約90%が1核・2n細胞で構成される.しかし,それ以後,加齢とともに1核・2n細胞の比率は次第に減少し,2核・2nや1核・4nなどのポリプロイド細胞が増加した.これに対して,C.A.H.では若年者でもポリプロイドの肝細胞が増加する...

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Published in肝臓 Vol. 20; no. 4; pp. 377 - 387
Main Authors 瀧野, 辰郎, 北村, 収, 香川, 恵造, 奥田, 健治, 高橋, 示人, 増田, 正典, 日高, 硬, 芦原, 司, 竹岡, 成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1979
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Summary:慢性肝炎非活動性(C.I.H.)16例,活動性(C.A.H.)37例,肝硬変(L.C.)24例,正常対照20例を対象に,Feulgen-DNA顕微蛍光測定法を応用して肝細胞プロイディの解析を行なった.この方法により,ヒト肝細胞の加齢に伴うプロイディ分布の変化および慢性肝炎におけるプロイディ分布の変動を詳細に検索した.正常人およびC.I.H.では,50歳頃までは肝細胞の約90%が1核・2n細胞で構成される.しかし,それ以後,加齢とともに1核・2n細胞の比率は次第に減少し,2核・2nや1核・4nなどのポリプロイド細胞が増加した.これに対して,C.A.H.では若年者でもポリプロイドの肝細胞が増加する症例がみられ,L.C.ではこのポリプロイド化の傾向が一層著明であった.この成績と,著者らが以前報告した肝細胞の再生増殖活性の成績とを考え併せると,慢性肝炎進展過程では,肝細胞の傷害に伴って増殖活性が亢進,持続し,その結果としてポリプロイドの肝細胞が増加し,プロイディ分布の面から見た肝細胞の加齢現象が進展すると結論される.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.20.377