新しいエコー下細径針組織生検法による肝細胞癌の組織診断とその意義

肝細胞癌(HCC)の早期確定診断のために1985年5月から1986年11月までに肝の占拠性病変を疑われた231例にエコー下の真島式細径針組織生検法を行い,HCC 103結節(96例)を全例組織診断出来た.HCC組織での細胞異型度は腫瘍径が小さいほど高分化型HCC例が多く,腫瘍径が大きくなるほど低分化型のHCC例が多かった.すなわち,直径20mm以下のHCCの80.8%が高分化型であり,直径31mm以上のHCCの場合は30%が高分化型であった.そのため,細胞診の診断率は直径20mm以下のHCCでは35.6%と低かった.直径11~15mmのHCC例は高エコー型が58.3%と多く,US上注意すべき所...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 5; pp. 628 - 636
Main Authors 藤本, 隆史, 田中, 正俊, 谷川, 久一, 真島, 康雄, 岩井, 一郎, 酒井, 輝文, 安倍, 弘彦, 阿部, 正秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1988
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.29.628

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Summary:肝細胞癌(HCC)の早期確定診断のために1985年5月から1986年11月までに肝の占拠性病変を疑われた231例にエコー下の真島式細径針組織生検法を行い,HCC 103結節(96例)を全例組織診断出来た.HCC組織での細胞異型度は腫瘍径が小さいほど高分化型HCC例が多く,腫瘍径が大きくなるほど低分化型のHCC例が多かった.すなわち,直径20mm以下のHCCの80.8%が高分化型であり,直径31mm以上のHCCの場合は30%が高分化型であった.そのため,細胞診の診断率は直径20mm以下のHCCでは35.6%と低かった.直径11~15mmのHCC例は高エコー型が58.3%と多く,US上注意すべき所見と思われた.また,直径21~30mmのHCC例の中に自然壊死例の2例(1.9%)を確認した.この生検法は出血や皮膚転移などの重篤な合併症を認めず,肝癌の早期確定診断法として極めて有用であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.628