腸重積をきたしたS状結腸脂肪肉腫の1例

症例は50歳,男性.下腹部痛,下血を主訴に当院に緊急入院となった.左下腹部に鶏卵大腫瘤を触知し圧痛を伴っていた.腹部CTにてS状結腸に腸重積を認め, CFでは同部位に内腔に突出する鶏卵大で弾性硬,表面平滑な腫瘍を認めた.生検の結果はGroup 1で癌細胞は認められなかった.以上よりS状結腸粘膜下腫瘍が原因の腸重積と術前診断し, S状結腸切除+リンパ節郭清術(D2)を実施した.病理組織学的検査の結果,分化型脂肪肉腫と確定診断された.術後経過は順調で23日目に軽快退院となった.大腸原発の脂肪肉腫症例は稀である.本例は本邦5例目の大腸原発脂肪肉腫例であった.これら5例の大腸脂肪肉腫本邦報告例を分析し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 2; pp. 429 - 432
Main Authors 福田, 直人, 丸野, 要, 山川, 達郎, 土用下, 和之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.429

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Summary:症例は50歳,男性.下腹部痛,下血を主訴に当院に緊急入院となった.左下腹部に鶏卵大腫瘤を触知し圧痛を伴っていた.腹部CTにてS状結腸に腸重積を認め, CFでは同部位に内腔に突出する鶏卵大で弾性硬,表面平滑な腫瘍を認めた.生検の結果はGroup 1で癌細胞は認められなかった.以上よりS状結腸粘膜下腫瘍が原因の腸重積と術前診断し, S状結腸切除+リンパ節郭清術(D2)を実施した.病理組織学的検査の結果,分化型脂肪肉腫と確定診断された.術後経過は順調で23日目に軽快退院となった.大腸原発の脂肪肉腫症例は稀である.本例は本邦5例目の大腸原発脂肪肉腫例であった.これら5例の大腸脂肪肉腫本邦報告例を分析したところ,分化型は表面平滑で転移を認めず,多形型は表面不整な多結節型で転移しやすいという傾向が認められた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.429