急性肝不全に対するcharcoal hemoadsorptionの基礎的臨床的研究
急性肝不全(AHF)に対する治療としての, charcoal hemoadsorption (HA)の有効性を動物実験的に比較検索した報告はきわめて少ない. 本研究は, HAがAHFに有効か否かを検し, さらに, 有効性の機序の一端を検索することを目的とした. 基礎的研究では, HAが早期昏睡ラットに有効で, また, 2回施行のHAと交換輸血の併用療法では, 比較的晩期AHFラットにも有効であった. HAは, AHFラットで低下せる肝細胞内energy charge, arterial ketone body ratio (AKBR), RES機能を改善した. 臨床例では, 治療期を3区分する...
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Published in | 人工臓器 Vol. 14; no. 6; pp. 1964 - 1975 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1985
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.14.1964 |
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Summary: | 急性肝不全(AHF)に対する治療としての, charcoal hemoadsorption (HA)の有効性を動物実験的に比較検索した報告はきわめて少ない. 本研究は, HAがAHFに有効か否かを検し, さらに, 有効性の機序の一端を検索することを目的とした. 基礎的研究では, HAが早期昏睡ラットに有効で, また, 2回施行のHAと交換輸血の併用療法では, 比較的晩期AHFラットにも有効であった. HAは, AHFラットで低下せる肝細胞内energy charge, arterial ketone body ratio (AKBR), RES機能を改善した. 臨床例では, 治療期を3区分すると, 昏睡II度の早期よりHAやplasma exchange (PE)を併用した第III期がより高い救命率(71.4%)を示した. また, 臨床例でも, AKBRはHAにより改善傾向を認めた. 以上より, HAはAHFに対し有効で, とくにHAにPEを併用しつつ, 昏睡早期より治療を開始すれば, HAの有効性がさらに増加すると思えた. HAの有効性の機序の一端は, 肝energy metabolismやRES機能を改善することによると考えた. |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.14.1964 |