MRSAによる腸腰筋膿瘍,肺化膿症を発症した慢性血液透析患者の1例

MRSAによる腸腰筋膿瘍は稀な疾患である.われわれは慢性血液透析患者に発症したMRSAシャントカテーテル敗血症が原因と思われる腸腰筋膿瘍,肺化膿症を経験したので報告する.症例は41歳女性の血液透析患者.主訴は発熱および左腰部痛.入院後,骨盤,胸部CTを施行し,左腸腰筋膿瘍,肺化膿症と診断し,切開排膿ドレナージ術を施行した.入院時動脈血培養からMRSAが検出され,またドレーン排液および喀痰からも同様にMRSAが検出されたため, VCM投与を行った.ドレーン抜去後,膿の再貯留を認めたため術後8日目に再度切開排膿術を施行した.初回術後約7週で解熱,膿瘍が骨盤,胸部CT上著明に縮小し,初回術後第13週...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 877 - 880
Main Authors 飯田, 富雄, 芳賀, 駿介, 梶原, 哲郎, 永田, 浩一, 蒲谷, 尭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.877

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Summary:MRSAによる腸腰筋膿瘍は稀な疾患である.われわれは慢性血液透析患者に発症したMRSAシャントカテーテル敗血症が原因と思われる腸腰筋膿瘍,肺化膿症を経験したので報告する.症例は41歳女性の血液透析患者.主訴は発熱および左腰部痛.入院後,骨盤,胸部CTを施行し,左腸腰筋膿瘍,肺化膿症と診断し,切開排膿ドレナージ術を施行した.入院時動脈血培養からMRSAが検出され,またドレーン排液および喀痰からも同様にMRSAが検出されたため, VCM投与を行った.ドレーン抜去後,膿の再貯留を認めたため術後8日目に再度切開排膿術を施行した.初回術後約7週で解熱,膿瘍が骨盤,胸部CT上著明に縮小し,初回術後第13週で軽快退院した. MRSAによる腸腰筋膿瘍の本邦報告例6例の内3例が死亡しており,早期にドレナージをつけ適当な薬物療法を行うことが重要であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.877