造影剤の貯留を認めた肝のSmall hyperplastic nodular lesionの1例

56歳の女性が,軟便と嘔気を主訴として某病院入院.検査の結果,肝癌の疑いと診断され,治療のため国立がんセンター病院に入院した.肝機能検査はほぼ正常範囲であった.糖尿病があり食事療法(1,200Cal/日)とInsulin (NPH 12単位/日)でcontrolされていた.超音波検査で,肝左葉内側区域に低エコー域が認められたが,入院後,肝実質とのcontrastに差がなくなり,境界不明となった.CTでは,high densityであるが,早朝にenhanceされ,血管造影では,動脈相から門脈相にかけて濃染する腫瘤だった.肝癌も疑われたが,確定診断がつかず,内側区域部分切除を行った.病理組織検査...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 26; no. 3; pp. 363 - 368
Main Authors 内山, 喜一郎, 木藤, 正樹, 知花, 朝美, 木村, 通広, 幕内, 雅敏, 山崎, 晋, 長谷川, 博, 森山, 紀之, 高安, 賢一, 岸, 紀代三, 盛, 英三, 石井, 真弓, 谷, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1985
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:56歳の女性が,軟便と嘔気を主訴として某病院入院.検査の結果,肝癌の疑いと診断され,治療のため国立がんセンター病院に入院した.肝機能検査はほぼ正常範囲であった.糖尿病があり食事療法(1,200Cal/日)とInsulin (NPH 12単位/日)でcontrolされていた.超音波検査で,肝左葉内側区域に低エコー域が認められたが,入院後,肝実質とのcontrastに差がなくなり,境界不明となった.CTでは,high densityであるが,早朝にenhanceされ,血管造影では,動脈相から門脈相にかけて濃染する腫瘤だった.肝癌も疑われたが,確定診断がつかず,内側区域部分切除を行った.病理組織検査で,肝細胞の結節状増生と,病変内にグリソン鞘,中心静脈を認めるが,Focal nodular hyperplasiaやLiver cell adenomaとは異なり,Hyperplastic nodular lesionと診断された.肝内小病変の鑑別診断の難しさと重要性を示唆する症例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.26.363