補助人工心臓を用いた循環管理における定値制御系の評価

重症心不全患者の循環管理を効果的に行うために, 補助人工心臓(VAD)における定値制御系の開発を進めてきた。これは左房圧と総流量(心拍出量+バイパス流量(BF))を目標値とし,それぞれが設定範囲に入るようにBFをポンプ収縮時間比(Fs)を介して自動制御を行うシステムであるが, Fsの変化幅及び変域が外部より入力可能とした。本制御系を動物実験で検討したとこち, 循環動態が不安定な時期には, Fsの変化幅を+6~+4%とし, 安定してからは+4~+2%とすることが適当であった。又減少については-2%で行うのが, 生体の過剰な反応を引きおこさず安全であった。Fsの変域についてはポンプの流量特性が症例...

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Published in人工臓器 Vol. 14; no. 3; pp. 1231 - 1234
Main Authors 申谷, 武嗣, 梅津, 光生, 高野, 久輝, 妙中, 義之, 田中, 隆, 岩田, 博夫, 松田, 武久, 野田, 裕幸, 安達, 盛次, 福田, 幸人, 関, 淳二, 高谷, 節雄, 林紘, 三郎, 阿久津, 哲造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1985
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Summary:重症心不全患者の循環管理を効果的に行うために, 補助人工心臓(VAD)における定値制御系の開発を進めてきた。これは左房圧と総流量(心拍出量+バイパス流量(BF))を目標値とし,それぞれが設定範囲に入るようにBFをポンプ収縮時間比(Fs)を介して自動制御を行うシステムであるが, Fsの変化幅及び変域が外部より入力可能とした。本制御系を動物実験で検討したとこち, 循環動態が不安定な時期には, Fsの変化幅を+6~+4%とし, 安定してからは+4~+2%とすることが適当であった。又減少については-2%で行うのが, 生体の過剰な反応を引きおこさず安全であった。Fsの変域についてはポンプの流量特性が症例毎に, 又同一例でも経時的に変化するので, 適宜流量特性を把握し各時点における適当な範囲を設定することにより, きめ細かな循環管理を安全に行い得た。本制御系を用いることにより, 重症心不全患者の循環管理は簡素化され, 又臨床使用においても充分に有用であることが確認された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.14.1231