明瞭なCT像を呈したSpigelヘルニアの1例

Spigelヘルニアは腹横筋線維が腱膜に移行する半月状線と腹直筋外縁との間に存在するSpigel腱膜に発生する.今回われわれは腹部CTで明瞭な画像を得て術前診断しえたSpigelヘルニアの1例を経験したので報告する. 症例は68歳の女性.腹痛と嘔気で受診.右下腹部に圧痛を伴う10cm大の弾性軟の腫瘤を認め,腹部CTで右腹直筋外縁の腱膜の欠損と腹腔外に突出した腸管を認めた. Spigelヘルニアの診断で開腹すると,外腹斜筋腱膜の直下に腹膜前脂肪組織に覆われた6×8cm大のヘルニア嚢を認め,ヘルニア内容は小腸であった.ヘルニア門は2×3cm大で,腹直筋外縁のSpigel腱膜に位置していた. Spi...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 2; pp. 491 - 494
Main Authors 芳賀, 駿介, 高橋, 弘, 梶原, 哲郎, 小川, 健治, 窪田, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.491

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Summary:Spigelヘルニアは腹横筋線維が腱膜に移行する半月状線と腹直筋外縁との間に存在するSpigel腱膜に発生する.今回われわれは腹部CTで明瞭な画像を得て術前診断しえたSpigelヘルニアの1例を経験したので報告する. 症例は68歳の女性.腹痛と嘔気で受診.右下腹部に圧痛を伴う10cm大の弾性軟の腫瘤を認め,腹部CTで右腹直筋外縁の腱膜の欠損と腹腔外に突出した腸管を認めた. Spigelヘルニアの診断で開腹すると,外腹斜筋腱膜の直下に腹膜前脂肪組織に覆われた6×8cm大のヘルニア嚢を認め,ヘルニア内容は小腸であった.ヘルニア門は2×3cm大で,腹直筋外縁のSpigel腱膜に位置していた. Spigelヘルニアは原発性腹壁ヘルニアの2%以下の頻度で稀な疾患とされ,本邦では39例が報告されている.自験例は内腹斜筋腱膜と腹横筋腱膜を欠くタイプで,診断には腹壁の層構造や欠損部を明らかにでき,ヘルニア内容を推定できる腹部CTが有用であった
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.491