ヒト肝癌細胞株から産生されるInterleukin-8の血管新生因子活性
5種類のヒト肝癌細胞株培養上清中の各種サイトカインを測定したところ,いずれの細胞株においても他のサイトカインと比べ高濃度のInterleukin (IL)-8が検出された.肝癌細胞培養上清中のIL-8濃度は,IL-1βやTNF-αの添加により増加し,その際にはIL-8mRNA発現の増強を伴っていた.肝癌細胞(PLC/PRF/5)培養上清は組み換え型IL-8と同様に,ヒト内皮細胞株であるHUVECsの増殖を濃度依存性に促進し,その活性は抗IL-8あるいは抗塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)中和抗体で部分的に抑制された.外科的に切除されたヒト肝癌組織,あるいは非癌部組織中のIL-8mRNAの発現...
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Published in | 肝臓 Vol. 36; no. 3; pp. 144 - 150 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1995
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.36.144 |
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Summary: | 5種類のヒト肝癌細胞株培養上清中の各種サイトカインを測定したところ,いずれの細胞株においても他のサイトカインと比べ高濃度のInterleukin (IL)-8が検出された.肝癌細胞培養上清中のIL-8濃度は,IL-1βやTNF-αの添加により増加し,その際にはIL-8mRNA発現の増強を伴っていた.肝癌細胞(PLC/PRF/5)培養上清は組み換え型IL-8と同様に,ヒト内皮細胞株であるHUVECsの増殖を濃度依存性に促進し,その活性は抗IL-8あるいは抗塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)中和抗体で部分的に抑制された.外科的に切除されたヒト肝癌組織,あるいは非癌部組織中のIL-8mRNAの発現をreverse transcription polymerase chain reac-tion法で調べたところ,調べた肝癌組織すべてにIL-8mRNAの発現を認め,半定量的な比較では同一肝の非腫瘍部と比べ,その発現量は多い傾向を認めた.以上より,ヒト肝癌から産生されるIL-8は,血管新生因子の一つとして働いている可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.36.144 |