開心術後上室性頻脈性不整脈に対する塩酸ジルチアゼム持続静注の効果

開心術後の上室性頻脈性不整脈は時として治療抵抗性であり, 電気的除細動や種々の抗不整脈剤を用いても術後管理に難渋することがある. そこで, 開心術後に上室性頻脈性不整脈を呈した6症例 (うち5例が心房細動, 残り1例は洞性頻脈) に対してジルチアゼムの持続静注 (3~5mcg/kg/min) を行った. いずれも心室拍数の著明な減少が得られた. 心房細動であった5例に関しては心室拍数の regularization を認め, R-R interval の不整が減少した. これにより各心周期にほぼ一定の前負荷を得ることができ, 開心術後の障害心筋にとっては望ましいことと考えられた. Swan-G...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 239 - 245
Main Authors 福井, 康三, 鈴木, 宗平, 成田, 淳一, 小野, 裕逸, 小田桐, 聡, 鯉江, 久昭, 百川, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 1994
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.23.239

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Summary:開心術後の上室性頻脈性不整脈は時として治療抵抗性であり, 電気的除細動や種々の抗不整脈剤を用いても術後管理に難渋することがある. そこで, 開心術後に上室性頻脈性不整脈を呈した6症例 (うち5例が心房細動, 残り1例は洞性頻脈) に対してジルチアゼムの持続静注 (3~5mcg/kg/min) を行った. いずれも心室拍数の著明な減少が得られた. 心房細動であった5例に関しては心室拍数の regularization を認め, R-R interval の不整が減少した. これにより各心周期にほぼ一定の前負荷を得ることができ, 開心術後の障害心筋にとっては望ましいことと考えられた. Swan-Ganz catheter を用いて得られた心血行動態諸指標の検討においても, 右心・左心の両機能とも改善が認められた. また, ジルチアゼム投与による副作用は認められなかった. 以上より, ジルチアゼム持続静注法は開心術後の上室性頻脈性不整脈に対して, 心機能の低下や副作用もなく, 有効な手段と考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.23.239