胃切除後の腹腔鏡下胆嚢摘出術で結石の遺残を認め腹腔鏡下総胆管切石術を施行した1例

胃切除後の腹腔鏡下胆嚢摘出術で結石の遺残を認め,腹腔鏡下総胆管切石術を施行した1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で, 20年前に十二指腸潰瘍にて広範囲胃切除術を受けた.急性胆嚢炎にて来院し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.膀の右横にて小開腹し,直視下に最初のトラカールを挿入した.さらに他の3本のトラカールを,腹腔鏡観察下に癒着を避けて右上腹部に穿刺した.癒着剥離やCalot三角の展開を慎重に行い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を終了した. 11カ月後黄疸にて再入院し,総胆管結石症と診断された. Billroth II法にて再建されていたため,腹腔鏡下総胆管切石術を施行した.前回の切開創にてトラカ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 1; pp. 161 - 165
Main Authors 中川, 国利, 鈴木, 幸正, 桃野, 哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2002
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:胃切除後の腹腔鏡下胆嚢摘出術で結石の遺残を認め,腹腔鏡下総胆管切石術を施行した1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で, 20年前に十二指腸潰瘍にて広範囲胃切除術を受けた.急性胆嚢炎にて来院し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.膀の右横にて小開腹し,直視下に最初のトラカールを挿入した.さらに他の3本のトラカールを,腹腔鏡観察下に癒着を避けて右上腹部に穿刺した.癒着剥離やCalot三角の展開を慎重に行い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を終了した. 11カ月後黄疸にて再入院し,総胆管結石症と診断された. Billroth II法にて再建されていたため,腹腔鏡下総胆管切石術を施行した.前回の切開創にてトラカールを再挿入し,慎重に癒着を剥離した.総胆管を切開して結石を摘出し, Tチューブを留置した.術後経過は良好であった.腹腔鏡下胆嚢摘出例でも腹腔鏡下総胆管切石術が施行可能であり,侵襲が少ないことから試みる価値があると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.161