肝内門脈-下大静脈短絡により猪瀬型肝性脳症および肺高血圧症を合併した1例
症例は49歳男性.一過性の意識障害,頭重感,労作時息切れを主症状として,高アンモニア血症,高ビリルビン血症,ICG 15分停滞率の遅延,肺動脈圧の上昇,高心拍出量以外肝病変や肺病変を示唆する所見はない.門脈造影では門脈左枝より左肝静脈起始部に至る径1.2cmの異常血管を認め,外科的にこれを結紮した.術後,高アンモニア血症・高ビリルビン血症の改善および心拍出量の正常化を認めた.術中肝生検標本では,組織学的に門脈域周囲の線維化を認めたが,肝硬変像は認めなかった. 本例は,解剖学的に静脈管(ductus venosus)の開存による先天性肝内門脈大循環短絡と推測され,肝性脳症および肺高血圧症を合併し...
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Published in | 肝臓 Vol. 32; no. 2; pp. 197 - 204 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1991
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.32.197 |
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Summary: | 症例は49歳男性.一過性の意識障害,頭重感,労作時息切れを主症状として,高アンモニア血症,高ビリルビン血症,ICG 15分停滞率の遅延,肺動脈圧の上昇,高心拍出量以外肝病変や肺病変を示唆する所見はない.門脈造影では門脈左枝より左肝静脈起始部に至る径1.2cmの異常血管を認め,外科的にこれを結紮した.術後,高アンモニア血症・高ビリルビン血症の改善および心拍出量の正常化を認めた.術中肝生検標本では,組織学的に門脈域周囲の線維化を認めたが,肝硬変像は認めなかった. 本例は,解剖学的に静脈管(ductus venosus)の開存による先天性肝内門脈大循環短絡と推測され,肝性脳症および肺高血圧症を合併した稀な症例と考え報告した. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.32.197 |