胆汁分泌に対するバナジウムの影響

摘出ラット肝灌流法を用いて,インスリン様作用をもつ必須元素であるバナジウムの胆汁分泌に対する影響をインスリンと比較検討した.バナジウムは,インスリンに比べ胆汁酸非依存性のみでなく胆汁酸依存性胆汁流量も増加させた.タウロコール酸投与時の胆汁酸排泄量を抑制しなかったが,胆汁酸排泄に伴って増加するリン脂質排泄量を著明に抑制した(uncoupling現象).タウロコール酸持続投与下にバナジウムを15分間投与すると,利胆作用は一過性であったが,uncouplingは持続性であった.バナジウムは肝内vesicle transportの指標であるhorseradish peroxidaseの胆汁中排泄を増加...

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Published in肝臓 Vol. 36; no. 9; pp. 524 - 531
Main Authors 川村, 益生, 早川, 富博, 星野, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.09.1995
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Summary:摘出ラット肝灌流法を用いて,インスリン様作用をもつ必須元素であるバナジウムの胆汁分泌に対する影響をインスリンと比較検討した.バナジウムは,インスリンに比べ胆汁酸非依存性のみでなく胆汁酸依存性胆汁流量も増加させた.タウロコール酸投与時の胆汁酸排泄量を抑制しなかったが,胆汁酸排泄に伴って増加するリン脂質排泄量を著明に抑制した(uncoupling現象).タウロコール酸持続投与下にバナジウムを15分間投与すると,利胆作用は一過性であったが,uncouplingは持続性であった.バナジウムは肝内vesicle transportの指標であるhorseradish peroxidaseの胆汁中排泄を増加させた.以上より,バナジウムはインスリンと異なる利胆作用を有し,かつuncoupling現象を惹起することが明らかとなった.また,バナジウムによるuncouplingは肝内vesicle transportの抑制によるものではないことが推定された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.36.524