急性肝障害におけるEpidermal Growth Factorによる肝再生促進効果についての検討

CCl4によるラット急性肝障害モデルを用いて,Epidermal Growth Factor (EGF)の肝再生促進効果を経時的に検討した.障害作製後第1日目のEGF receptor数は,正常ラットの約25%にまで減少していた.同時に肝組織中内因性EGF濃度も著明に減少していた.しかし門脈内に外因性にhuman EGF (hEGF)を10μg/kg投与すると,15分後には肝組織中hEGF濃度は100倍以上の上昇を認めた.第1日目よりhEGF 50μg/kgを12時間おきに腹腔内投与したところ,第2日目のLabelling indexは,非投与群第2日目の20.51±5.76%に比較して49....

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Published in肝臓 Vol. 31; no. 8; pp. 921 - 927
Main Author 村上, 不二夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1990
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.31.921

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Summary:CCl4によるラット急性肝障害モデルを用いて,Epidermal Growth Factor (EGF)の肝再生促進効果を経時的に検討した.障害作製後第1日目のEGF receptor数は,正常ラットの約25%にまで減少していた.同時に肝組織中内因性EGF濃度も著明に減少していた.しかし門脈内に外因性にhuman EGF (hEGF)を10μg/kg投与すると,15分後には肝組織中hEGF濃度は100倍以上の上昇を認めた.第1日目よりhEGF 50μg/kgを12時間おきに腹腔内投与したところ,第2日目のLabelling indexは,非投与群第2日目の20.51±5.76%に比較して49.48±3.93%と有意な高値を示し,さらに第3日目も非投与群に比し有意に高値を呈し,EGFを投与することにより肝細胞の増殖が促進された.以上よりEGFは,強力なhepatotrophic factorであり,急性肝不全に対する治療薬として臨床応用の可能性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.31.921