シートベルト外傷による遅発性大腸穿孔の1例

シートベルト外傷による遅発性大腸穿孔の1例を経験した。症例は, 18歳女性。交通事故のため当院に搬送された。精査にてI型膵損傷, Ia型肝損傷, 右第7~9肋骨骨折, 第12胸椎骨折と診断し, 保存的に経過を観察した。受傷後14日目より腹部膨満傾向となり, 腹部CT検査, 腹腔試験穿刺で, 消化管穿孔による急性腹膜炎と診断し, 緊急開腹術を施行した。術中所見で, 横行結腸の著明な壁肥厚と穿孔部を認めたため, 横行結腸部分切除, 人工肛門造設術を施行した。術後の経過は良好で, 第37病日に病状は安定して転院となった。鈍的腹部外傷では常に遅発性消化管穿孔の可能性も念頭に置き, 遊離ガスの有無にとら...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 1091 - 1095
Main Authors 山下, 進, 本田, 真広, 藤田, 基, 金田, 浩太郎, 前川, 剛志, 中原, 貴志, 金子, 唯, 鶴田, 良介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2004
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.1091

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Summary:シートベルト外傷による遅発性大腸穿孔の1例を経験した。症例は, 18歳女性。交通事故のため当院に搬送された。精査にてI型膵損傷, Ia型肝損傷, 右第7~9肋骨骨折, 第12胸椎骨折と診断し, 保存的に経過を観察した。受傷後14日目より腹部膨満傾向となり, 腹部CT検査, 腹腔試験穿刺で, 消化管穿孔による急性腹膜炎と診断し, 緊急開腹術を施行した。術中所見で, 横行結腸の著明な壁肥厚と穿孔部を認めたため, 横行結腸部分切除, 人工肛門造設術を施行した。術後の経過は良好で, 第37病日に病状は安定して転院となった。鈍的腹部外傷では常に遅発性消化管穿孔の可能性も念頭に置き, 遊離ガスの有無にとらわれず, 注意深い観察が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.1091