開頭術麻酔管理における動脈血および 脳静脈血の血中乳酸値の変動

開頭術36例において動脈血と脳静脈血の乳酸(A-Lac, CV-Lac),およびコロイド浸透圧の経時的変動を観察した.A-LacとCV-Lacは等比級数的な経時的上昇を示し,麻酔導入から10時間後には,pHとともに乳酸性アシドーシスのレベルに達した.また,シバリングを合併した6例では,シバリング中,コロイド浸透圧は有意の変化を示さなかったが,A-Lacは有意に上昇し,CV-Lacより高値をとった.さらに,全身性痙攣発作を合併した5例では,痙攣発作中,コロイド浸透圧は有意の変化を示さなかったが,CV-Lacは有意に上昇し,A-Lacより高値をとった.以上から,シバリング中は血液から脳組織へ,痙攣...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 11; no. 2; pp. 182 - 188
Main Authors 熊谷, 雄一, 石田, 恭子, 渡辺, 逸平, 小野, 信吾, 本田, 忠幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1991
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.11.182

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Summary:開頭術36例において動脈血と脳静脈血の乳酸(A-Lac, CV-Lac),およびコロイド浸透圧の経時的変動を観察した.A-LacとCV-Lacは等比級数的な経時的上昇を示し,麻酔導入から10時間後には,pHとともに乳酸性アシドーシスのレベルに達した.また,シバリングを合併した6例では,シバリング中,コロイド浸透圧は有意の変化を示さなかったが,A-Lacは有意に上昇し,CV-Lacより高値をとった.さらに,全身性痙攣発作を合併した5例では,痙攣発作中,コロイド浸透圧は有意の変化を示さなかったが,CV-Lacは有意に上昇し,A-Lacより高値をとった.以上から,シバリング中は血液から脳組織へ,痙攣発作中は脳組織から血液へ乳酸が移行すると推測される.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.11.182