肝静脈血酸素飽和度による肝切時の肝酸素化状態のモニター

低酸素や肝血流低下は肝不全を引き起こすため,その発生を早期に検出する必要がある。今回われわれは,肝臓切除術が行なわれた患者11名の肝静脈血酸素飽和度(ShVO2)を連続的に測定し,ShVO2の有用性を検討した。肝動脈,門脈遮断に際し,体循環に変動はなかったが,ShVO2は有意に低下し(8症例),それに伴い乳酸値は上昇し(R=0.66, p<0.01),術後GOT, GPTは増加した。一方,他3症例は肝血流遮断に際しShVO2は変動せず,カテーテル先端が肝の非切除側へ留置されているためと思われた。ShVO2は肝の酸素代謝をモニターする有効な方法であるが,カテーテル先端の留置位置を常に考慮し...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 14; no. 2; pp. 137 - 142
Main Authors 垣花, 泰之, 山口, 俊一郎, 小田, 利通
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1994
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.14.137

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Summary:低酸素や肝血流低下は肝不全を引き起こすため,その発生を早期に検出する必要がある。今回われわれは,肝臓切除術が行なわれた患者11名の肝静脈血酸素飽和度(ShVO2)を連続的に測定し,ShVO2の有用性を検討した。肝動脈,門脈遮断に際し,体循環に変動はなかったが,ShVO2は有意に低下し(8症例),それに伴い乳酸値は上昇し(R=0.66, p<0.01),術後GOT, GPTは増加した。一方,他3症例は肝血流遮断に際しShVO2は変動せず,カテーテル先端が肝の非切除側へ留置されているためと思われた。ShVO2は肝の酸素代謝をモニターする有効な方法であるが,カテーテル先端の留置位置を常に考慮し,測定結果の解析を行なう必要があると思われた。
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.14.137