当院における膿胸開放療法症例の検討

1980年9月より1991年12月までの問に島田市民病院呼吸器科にて経験した膿胸手術症例は64例で, そのうち開放療法を施行した症例は13例 (20%), 平均年齢は66歳であった.内訳は慢性膿胸では7/47例 (15%), 術後膿胸では5/9例 (56%), 急性膿胸では1/8例 (13%) であった.慢性膿胸では全例が結核性・有瘻性であり, 排菌例が5例 (71%) に認められた.肝硬変症を合併しpre-DIC状態の1例を除き, 6例 (86%) が閉鎖可能であり, 開放療法は有用であった.術後膿胸では全摘後2例, 葉切後2例, 巨大ブラ切除後1例に膿胸が発生し, 開放療法は結果的に全摘後...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 8; no. 4; pp. 473 - 479
Main Authors 川島, 正裕, レシャード, カレード, 八木, 一之, 高嶋, 義光, 平田, 敏樹, 乾, 健二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 1994
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.8.473

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Summary:1980年9月より1991年12月までの問に島田市民病院呼吸器科にて経験した膿胸手術症例は64例で, そのうち開放療法を施行した症例は13例 (20%), 平均年齢は66歳であった.内訳は慢性膿胸では7/47例 (15%), 術後膿胸では5/9例 (56%), 急性膿胸では1/8例 (13%) であった.慢性膿胸では全例が結核性・有瘻性であり, 排菌例が5例 (71%) に認められた.肝硬変症を合併しpre-DIC状態の1例を除き, 6例 (86%) が閉鎖可能であり, 開放療法は有用であった.術後膿胸では全摘後2例, 葉切後2例, 巨大ブラ切除後1例に膿胸が発生し, 開放療法は結果的に全摘後4例, 葉切後1例に施行された.全例が開放創を閉鎖することなく死亡したが, 開放療法の時期の遅れ, または根治療法の前に適応すべきと反省された症例もみられた.ドレナージ・洗浄にて軽快のみられない症例に対しては, 積極的な開放療法の適応が勧められる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.8.473