多彩な脳神経症状を呈し, Gaシンチグラフィーで浸潤部位を推測し得た成人T細胞白血病の1剖検例
症例. 44才,男性.鹿児島県出身. 1986年8月より咳嗽. 10月より体幹に浸潤性紅斑出現.血清抗HTLV-I抗体(+)で, CD4 (+), CD8 (-), CD25 (+)の異型リンパ球を認めた. 1987年1月末より,複視,嚥下困難,ふらつきが出現した.脳CTでは造影を含めて正常であった. Gaシンチで脳底部領域と心窩部にhot areaを認めた.髄液検査は,抗HTLV-1抗体(+)で, ATL細胞を認めた.胃内視鏡で臣大な腫瘤を認め,生検にてATL細胞の浸潤を認めた. 3月4日よりMTX, PSLの髄注とVEPA療法を施行したが, 4月2日肺炎を併発し死亡.剖検で神経症状に一致す...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 645 - 649 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
1989
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ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.78.645 |
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Summary: | 症例. 44才,男性.鹿児島県出身. 1986年8月より咳嗽. 10月より体幹に浸潤性紅斑出現.血清抗HTLV-I抗体(+)で, CD4 (+), CD8 (-), CD25 (+)の異型リンパ球を認めた. 1987年1月末より,複視,嚥下困難,ふらつきが出現した.脳CTでは造影を含めて正常であった. Gaシンチで脳底部領域と心窩部にhot areaを認めた.髄液検査は,抗HTLV-1抗体(+)で, ATL細胞を認めた.胃内視鏡で臣大な腫瘤を認め,生検にてATL細胞の浸潤を認めた. 3月4日よりMTX, PSLの髄注とVEPA療法を施行したが, 4月2日肺炎を併発し死亡.剖検で神経症状に一致する脳幹部背側にATL細胞の浸潤を認めた, Gaシンチは, CTでは見出せないATL級胞の集積部位の同定に有用と思われる. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.78.645 |