下行結腸癌に合併した閉塞性大腸炎の1例

症例は52歳,男性.平成13年8月頃より便通異常を自覚するも放置していた. 8月13日より腹痛,腹部膨満感を認め,近医を受診した.イレウスと診断され当院に紹介となり,大腸内視鏡検査にて下行結腸に完全狭窄をきたした腫瘍を認めた.イレウスチューブを留置し減圧を試みるも効果なく, 8月15日緊急手術を施行した.開腹すると下行結腸に全周性の腫瘍を認め,それより口側の結腸の拡張と横行結腸中程までの暗赤色調の変化を認めた.これより下行結腸癌に合併した閉塞性大腸炎と診断し,結腸左半切除術を施行した.本症の治療は原発巣を含めた潰瘍壊死部の完全切除が原則であるが,腸管の大量切除となることと,潰瘍部の筋層は保たれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 996 - 999
Main Authors 池田, 光之, 豊田, 暢彦, 栗栖, 泰郎, 前田, 啓之, 岩永, 幸夫, 岩本, 明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2004
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.996

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Summary:症例は52歳,男性.平成13年8月頃より便通異常を自覚するも放置していた. 8月13日より腹痛,腹部膨満感を認め,近医を受診した.イレウスと診断され当院に紹介となり,大腸内視鏡検査にて下行結腸に完全狭窄をきたした腫瘍を認めた.イレウスチューブを留置し減圧を試みるも効果なく, 8月15日緊急手術を施行した.開腹すると下行結腸に全周性の腫瘍を認め,それより口側の結腸の拡張と横行結腸中程までの暗赤色調の変化を認めた.これより下行結腸癌に合併した閉塞性大腸炎と診断し,結腸左半切除術を施行した.本症の治療は原発巣を含めた潰瘍壊死部の完全切除が原則であるが,腸管の大量切除となることと,潰瘍部の筋層は保たれているという考えより自験例のように潰瘍部で吻合することも選択肢の一つであると思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.996