Polypropylene-e-PTFE composite meshによる胸壁再建を行った胸壁原発悪性線維性組織球症の1例

胸壁原発の悪性線維性組織球症(MFH)は比較的稀な疾患で,診断に苦慮することが少なくない.今回われわれは,経過中急激に増大したMFHの1例を経験し, Bard Composix meshを利用した胸壁再建を施行した1例を経験したので報告する.症例は54歳,女性.右側胸部痛を主訴に受診し,精査目的に入院となった.胸部X線撮影では右肺野に突出する境界明瞭で比較的均一な濃度を有する腫瘤陰影を認め,胸部CT検査では,右第6肋骨の破壊性変化と同部位に胸膜より突出する3cm大の腫瘍を認めた.術前の細胞診では悪性中皮腫が疑われた.経過中腫瘍の急激な増大を認め,胸壁再建を伴う広範囲切除を施行した.再建はCom...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 584 - 588
Main Authors 鹿島, 健, 荻野, 秀光, 村上, 修, 下山, ライ, 松本, 春美, 森川, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.584

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Summary:胸壁原発の悪性線維性組織球症(MFH)は比較的稀な疾患で,診断に苦慮することが少なくない.今回われわれは,経過中急激に増大したMFHの1例を経験し, Bard Composix meshを利用した胸壁再建を施行した1例を経験したので報告する.症例は54歳,女性.右側胸部痛を主訴に受診し,精査目的に入院となった.胸部X線撮影では右肺野に突出する境界明瞭で比較的均一な濃度を有する腫瘤陰影を認め,胸部CT検査では,右第6肋骨の破壊性変化と同部位に胸膜より突出する3cm大の腫瘍を認めた.術前の細胞診では悪性中皮腫が疑われた.経過中腫瘍の急激な増大を認め,胸壁再建を伴う広範囲切除を施行した.再建はComposix meshを使用し,その外側で切除肋骨の上下の肋骨をスライドさせ骨性胸郭を形成した.術後病理診断では,MFHであった.本再建方法は,MFHを始めとする広範囲胸壁切除が必要な胸壁腫瘍の再建法として有用と思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.584