被殻出血重症例発症早期のgradingと手術成績

被殻出血に対する手術療法の適応については, 脳卒中外科研究会によるneurological gradingに基づき一定の方針がとられるようになった.しかしながら, 自験例の中でもgrade 4a, 4b群の転帰は, 外科的処置にもかかわらず予想外に不良となり, これら重症例 (4a, 4b) の予後を不良にする背景には一層の検討を要するものと考えられた.昭和60年5月までの過去3年間に経験した高血圧性脳内血腫259例のうち被殻出血は122例 (47%) となり, 4a, 4bはそれぞれ被殻出血の7.4%, 15.6%を占め, いずれも血腫量, 正中偏位, 視床伸展, 脳室穿破などのCT所見は極...

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Published in脳卒中 Vol. 9; no. 2; pp. 134 - 139
Main Authors 野中, 信仁, 池田, 順一, 三浦, 義一, 松角, 康彦, 山口, 俊朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1987
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.9.134

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Summary:被殻出血に対する手術療法の適応については, 脳卒中外科研究会によるneurological gradingに基づき一定の方針がとられるようになった.しかしながら, 自験例の中でもgrade 4a, 4b群の転帰は, 外科的処置にもかかわらず予想外に不良となり, これら重症例 (4a, 4b) の予後を不良にする背景には一層の検討を要するものと考えられた.昭和60年5月までの過去3年間に経験した高血圧性脳内血腫259例のうち被殻出血は122例 (47%) となり, 4a, 4bはそれぞれ被殻出血の7.4%, 15.6%を占め, いずれも血腫量, 正中偏位, 視床伸展, 脳室穿破などのCT所見は極めて重篤であった.発症より入院時までの経過時間は, 3時間以内60.7%, 6時間以内78.6%と極めて短く, 発症後超早期における手術適応の評価判定にはneurological gradingに加え発症後の時間的経過も加味する必要があると思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.9.134