CTによる胃癌の術前リンパ節転移診断の現状

胃癌症例の外科的切除に際して上腹部CT撮影検査は一般的に行われているが,腹腔内リンパ節の転移の有無についての診断は未だに確立していない.われわれは胃癌症例のCT画像によるリンパ節転移の診断基準を考案し,その基準からリンパ節転移診断の正確性を評価することを目的とした.対象は国立大阪病院外科にてリンパ節郭清を伴う外科的切除を施行した進行胃癌72例である.リンパ節の大きさと転移の有無の関係, CT画像と組織診断を一致させた転移陽性リンパ節と転移陰性リンパ節各25個の比較から, CT上の転移陽性リンパ節の診断基準を1)長径1cm以上, 2)辺縁整であることとし, CT画像によるリンパ節転移診断能を求め...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 3; pp. 618 - 622
Main Authors 安井, 昌義, 小林, 研二, 藤谷, 和正, 竹政, 伊知朗, 辛, 栄成, 吉川, 宣輝, 吉岡, 靖雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.03.2000
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Summary:胃癌症例の外科的切除に際して上腹部CT撮影検査は一般的に行われているが,腹腔内リンパ節の転移の有無についての診断は未だに確立していない.われわれは胃癌症例のCT画像によるリンパ節転移の診断基準を考案し,その基準からリンパ節転移診断の正確性を評価することを目的とした.対象は国立大阪病院外科にてリンパ節郭清を伴う外科的切除を施行した進行胃癌72例である.リンパ節の大きさと転移の有無の関係, CT画像と組織診断を一致させた転移陽性リンパ節と転移陰性リンパ節各25個の比較から, CT上の転移陽性リンパ節の診断基準を1)長径1cm以上, 2)辺縁整であることとし, CT画像によるリンパ節転移診断能を求めた.小弯領域・大弯領域・腹腔動脈領域の正診率はそれぞれ56.5%, 47.8%, 75.0%と低値であった.現状では, CTによるリンパ節転移診断能は低いと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.618