肝硬変合併肝細胞癌切除例における術中門脈内prostaglandin E1投与の効果
硬変肝切除中における門脈内prostaglandin E1 (PGE1) 投与の効果を,術後肝機能および血中endotoxin (Et) 濃度の推移で検討した.肝硬変合併肝細胞癌30例を対象とし, A; PGE1術中門脈内投与群 (0.01μg/kg/min), B; PGE1術中静脈内投与群 (0.02μg/kg/min), C; PGE1非投与群の各々10例に分けた. A, B群は術直後よりさらに2日間静脈内にPGE1を持続投与した.全例肝切除中にPringle法で肝温阻血を15分間, 2回以上行った. A群の術後T. Bilの推移はB, C群に比べ有意 (p<0.05) に良好で,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 324 - 328 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.02.1999
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Subjects | |
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Summary: | 硬変肝切除中における門脈内prostaglandin E1 (PGE1) 投与の効果を,術後肝機能および血中endotoxin (Et) 濃度の推移で検討した.肝硬変合併肝細胞癌30例を対象とし, A; PGE1術中門脈内投与群 (0.01μg/kg/min), B; PGE1術中静脈内投与群 (0.02μg/kg/min), C; PGE1非投与群の各々10例に分けた. A, B群は術直後よりさらに2日間静脈内にPGE1を持続投与した.全例肝切除中にPringle法で肝温阻血を15分間, 2回以上行った. A群の術後T. Bilの推移はB, C群に比べ有意 (p<0.05) に良好で,術後ALT, PT, HPT, ケトン体比の推移も有意差は認めなかったがB, C群に比べ良好であった. B群とC群では術後肝機能に差を認めなかった.血中Et濃度は温阻血解除後に倍増し,術前値に回復するのにA群で1~2時間, B群で1~3日間要した. 以上より,肝温阻血を伴う硬変肝切除中の門脈内PGE1投与によって,術後肝機能やEt処理能の低下が抑制されることが確認された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.324 |