完全房室ブロックを合併したpolymyositisの1剖検例

致死的な不整脈を呈した多発性筋炎の1剖検例にて,その原因を病理学的に検討した.症例は66才,男性.昭和56年7月より筋力低下が出現し,筋肉逸脱酵素の上昇を認め筋生検にて多発性筋炎と診断された.発症時から完全右脚ブロック,左脚前枝ブロックを認めていたが,昭和58年8月突然完全房室ブロックによる意識消失発作をきたした.体内式ペースメーカー植込術を実施し,小康を得るも翌年4月結核性髄膜炎を併発し死亡した.剖検では固有心筋の変化は軽度であったが,刺激伝導系には脂肪浸潤, fibrosisが著明で,多発性筋炎の刺激伝導系における一次的な障害であると思われた.多発性筋炎による完全房室ブロックはまれで,興味...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 537 - 542
Main Authors 山田, 順子, 棚橋, 忍, 高橋, 日出美, 高桑, 薫, 亀谷, 正明, 時光, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1987
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Summary:致死的な不整脈を呈した多発性筋炎の1剖検例にて,その原因を病理学的に検討した.症例は66才,男性.昭和56年7月より筋力低下が出現し,筋肉逸脱酵素の上昇を認め筋生検にて多発性筋炎と診断された.発症時から完全右脚ブロック,左脚前枝ブロックを認めていたが,昭和58年8月突然完全房室ブロックによる意識消失発作をきたした.体内式ペースメーカー植込術を実施し,小康を得るも翌年4月結核性髄膜炎を併発し死亡した.剖検では固有心筋の変化は軽度であったが,刺激伝導系には脂肪浸潤, fibrosisが著明で,多発性筋炎の刺激伝導系における一次的な障害であると思われた.多発性筋炎による完全房室ブロックはまれで,興味ある症例である.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.76.537