CTの胃内high density所見が診断に有用であった急性ブロムワレリル尿素中毒の一例

症例は48歳,女性。婚姻関係のない知人の男性の車により昏睡状態で救急搬送された。搬入時,瞳孔は両側縮小し,対光反射は緩慢であった。顔面,胸部に打撲痕を認め,当初は頭部外傷による意識障害を疑ったが,頭部CTおよび胸部,腹部X線で異常を認めなかった。今回我々は(1)精査目的で撮影した腹部CTで偶然high densityな物質を認めたこと,(2)後に患者宅でウットTMと記された薬の台紙4箱分が発見されたこと,(3)患者の覚醒後の問診で希死念慮があり,薬物大量服用の事実を認めたことからX線不透過な物質の一つとして知られるブロムワレリル尿素中毒と気づいた。来院直後に採取した血中臭化物濃度4.5mg・d...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 141 - 143
Main Authors 鷺島, 克之, 木下, 順弘, 武田, 多一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.04.2006
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.13.141

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Summary:症例は48歳,女性。婚姻関係のない知人の男性の車により昏睡状態で救急搬送された。搬入時,瞳孔は両側縮小し,対光反射は緩慢であった。顔面,胸部に打撲痕を認め,当初は頭部外傷による意識障害を疑ったが,頭部CTおよび胸部,腹部X線で異常を認めなかった。今回我々は(1)精査目的で撮影した腹部CTで偶然high densityな物質を認めたこと,(2)後に患者宅でウットTMと記された薬の台紙4箱分が発見されたこと,(3)患者の覚醒後の問診で希死念慮があり,薬物大量服用の事実を認めたことからX線不透過な物質の一つとして知られるブロムワレリル尿素中毒と気づいた。来院直後に採取した血中臭化物濃度4.5mg・dl-1はブロムワレリル尿素大量服用で説明可能であった。ブロムワレリル尿素中毒の診断において,CTは単純X線より優れていた。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.13.141