D-galactosamine障害肝ラットに対するdibutyryl cyclic AMPとグルカゴンによる糖代謝への影響

肝の代謝調節や肝再生にcyclic AMPが重要な役割を演じている事はよく知られている.本論文ではcyclic AMPの誘導体であるdibutyryl cyclic AMPとグルカゴンのD-galactosamine障害肝におよぼす影響を血中グルコース濃度,肝組織グリコーゲン量,糖代謝系の酵素活性に関して比較検討した. dibutyryl cyclic AMP,グルカゴンの両者は糖代謝面で類似の作用を示した. dibutyryl cyclic AMPはグルカゴンに比べて糖新生(gluconeogenesis)を促進させたが,グリコーゲン分解作用(glycogenolysis)は弱かった.また,...

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 3; pp. 329 - 335
Main Authors 松尾, 行雄, 竹崎, 英一, 末盛, 彰一, 小松, 晃一, 田村, 徹, 天野, 始, 舛田, 一成, 中村, 利夫, 森石, 真吾, 中山, 茂, 池本, 吉博, 渡辺, 恭行, 吉川, 正哉, 中西, 敏夫, 梶山, 梧朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1988
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Summary:肝の代謝調節や肝再生にcyclic AMPが重要な役割を演じている事はよく知られている.本論文ではcyclic AMPの誘導体であるdibutyryl cyclic AMPとグルカゴンのD-galactosamine障害肝におよぼす影響を血中グルコース濃度,肝組織グリコーゲン量,糖代謝系の酵素活性に関して比較検討した. dibutyryl cyclic AMP,グルカゴンの両者は糖代謝面で類似の作用を示した. dibutyryl cyclic AMPはグルカゴンに比べて糖新生(gluconeogenesis)を促進させたが,グリコーゲン分解作用(glycogenolysis)は弱かった.また,血中グルコース濃度を上昇させ,lipolysis促進作用は弱い事が示され,以上のことからD-galactosamine障害肝における,dibutyryl cyclic AMPとグルカゴンの影響はやや異なると考えられ,dibutyryl cyclic AMPの方がグルカゴンに比べて,より強く肝細胞障害時のエネルギー代謝障害を改善することが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.329