腸間膜脂肪織炎が最も考えられたS状結腸狭窄の1例
症例は81歳男性.便秘,左下腹部痛,左下腹部腫瘤を主訴に来院,腸閉塞の診断にて入院した.注腸検査で,直腸RsからS状結腸にかけて鋸歯像を伴った管腔の狭小化を認め, CT検査ではS状結腸間膜脂肪組織のhigh densityな索状影を伴ったlow-density volumeの増大を認めたため,腸間膜脂肪織炎と診断した.絶食, IVH,抗生剤投与により軽快し一時退院したが, 2週間後症状が再燃した.外科的治療が必要と判断し開腹したが,腸間膜脂肪織炎の所見が明らかであり,癌腫などの悪性所見を認めなかったため,生検,切除などは行わず,横行結腸にループ式人工肛門を造設した.術後,症状は速やかに回復し,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 3; pp. 772 - 775 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.03.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.772 |
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Summary: | 症例は81歳男性.便秘,左下腹部痛,左下腹部腫瘤を主訴に来院,腸閉塞の診断にて入院した.注腸検査で,直腸RsからS状結腸にかけて鋸歯像を伴った管腔の狭小化を認め, CT検査ではS状結腸間膜脂肪組織のhigh densityな索状影を伴ったlow-density volumeの増大を認めたため,腸間膜脂肪織炎と診断した.絶食, IVH,抗生剤投与により軽快し一時退院したが, 2週間後症状が再燃した.外科的治療が必要と判断し開腹したが,腸間膜脂肪織炎の所見が明らかであり,癌腫などの悪性所見を認めなかったため,生検,切除などは行わず,横行結腸にループ式人工肛門を造設した.術後,症状は速やかに回復し,以後再燃を認めていない. 1年後の注腸検査で鋸歯像は消失し,管腔の開大と壁の伸展性の回復を認めた. S状結腸間膜脂肪織炎に対して外科的治療が必要となった場合でも,人工肛門造設による病巣空置のみで病変は軽快すると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.772 |