MRI (磁気共鳴画像診断法) により病巣を明瞭に描出し得たWallenberg症候群の1例

Wallenberg症候群の臨床診断は, 専らその特徴的な神経症状・徴候によってなされ, X線CTをはじめとする補助診断法によって病巣を描出することは不可能であった.われわれは磁気共鳴画像診断法 (MRI) により, 病巣部位を明瞭に描出し得たWallenberg症候群の最初の症例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男.めまい, 右顔面痛, 嚥下困難, 吃逆で発症した.第22病日, 来院時に右Horner徴候, 右軟口蓋反射低下, 右小脳失調, 右顔面と左上下肢の解離性感覚障害が認められ, Wallenberg症候群と診断された.脳血管撮影では右椎骨動脈閉塞がみられ, 右後下小脳動脈は造...

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Published in脳卒中 Vol. 7; no. 3; pp. 258 - 262
Main Authors 屋宮, 央哉, 山口, 武典, 宮下, 孟士, 小塚, 隆弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1985
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Summary:Wallenberg症候群の臨床診断は, 専らその特徴的な神経症状・徴候によってなされ, X線CTをはじめとする補助診断法によって病巣を描出することは不可能であった.われわれは磁気共鳴画像診断法 (MRI) により, 病巣部位を明瞭に描出し得たWallenberg症候群の最初の症例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男.めまい, 右顔面痛, 嚥下困難, 吃逆で発症した.第22病日, 来院時に右Horner徴候, 右軟口蓋反射低下, 右小脳失調, 右顔面と左上下肢の解離性感覚障害が認められ, Wallenberg症候群と診断された.脳血管撮影では右椎骨動脈閉塞がみられ, 右後下小脳動脈は造影されなかった.X線CTでは脳幹部に異常を指摘し得なかったが, MRI (超伝導磁石, 静磁場強度0.35Tesla) にて右延髄外側に明瞭なlow intensity areaが描出された (spin echo法, TR0.8 sec, TE 35 msec).この部の病巣は神経学的所見, 血管撮影所見とも矛盾せず本症例の責任病巣と考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.7.258