視床下部性下垂体機能低下症に合併した若年性脂肪性肝硬変の1例

症例は14歳,女性.1歳2カ月時思春期早発症と診断され内科的治療を受けた.4歳時頭部CTスキャンにて視床下部過誤腫を発見され,部分切除を受けたが,高身長・乳房の発達・肥満が続くため,8歳より酢酸シプロテロンの投与を受けていた.12歳ころよりGOT, GPTの上昇を認め,平成元年1月肝障害と肥満の精査のため当科入院となった,入院時身長145.5cm,体重61.5kg.肝は正中でやや硬く3横指触知した.肝機能検査ではGOT 1931U/L,GPT1471U/Lと上昇しており,ICGR15は23%と停滞していた.腹部エコ-ではbright liverの所見を呈し,肝シンチではfiying bat p...

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Published in肝臓 Vol. 33; no. 3; pp. 270 - 275
Main Authors 竹澤, 二郎, 長嶺, 竹明, 新井, 孝之, 湯浅, 圭一朗, 山田, 昇司, 関口, 利和, 小林, 節雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1992
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.33.270

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Summary:症例は14歳,女性.1歳2カ月時思春期早発症と診断され内科的治療を受けた.4歳時頭部CTスキャンにて視床下部過誤腫を発見され,部分切除を受けたが,高身長・乳房の発達・肥満が続くため,8歳より酢酸シプロテロンの投与を受けていた.12歳ころよりGOT, GPTの上昇を認め,平成元年1月肝障害と肥満の精査のため当科入院となった,入院時身長145.5cm,体重61.5kg.肝は正中でやや硬く3横指触知した.肝機能検査ではGOT 1931U/L,GPT1471U/Lと上昇しており,ICGR15は23%と停滞していた.腹部エコ-ではbright liverの所見を呈し,肝シンチではfiying bat patternを示した.肝生検では炎症細胞浸潤に乏しい脂肪性肝硬変の所見であった.内分泌学的検査では視床下部性の下垂体機能低下症・肥満を示唆する所見が得られた.肝病変の進展には肥満に加えて,抗アンドロゲン製剤の使用を含めた内分泌学的異常の関与が想定された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.33.270