心内伏針の1手術例

今回われわれは自殺企図による心内伏針を経験したので報告する. 症例は51歳, 女性, 自殺企図により左前胸壁より縫針を刺入したとのことで, 胸部単純X-P, 胸部CTをとったところ心室壁を貫く伏針を認めた. 胸部CT上心嚢液を認めたこと, 発熱があり感染も考えられたこと, 伏針の移動により新たな損傷も考えられたことなどによりわれわれは人工心肺スタンバイのもと緊急手術を行った. 手術は胸骨正中切開にて心臓に達した. 心膜を切開すると, 左前下降枝の右室側約2mmの心室壁に針の頭を認め, その先端は横隔膜に達していた. 心拍動下に針を抜去し, 出血のないことを確認し閉胸した. 術後経過は順調で術後...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 5; pp. 369 - 371
Main Authors 江本, 秀斗, 小柳, 勝司, 金沢, 俊行, 堀越, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 1994
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.23.369

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Summary:今回われわれは自殺企図による心内伏針を経験したので報告する. 症例は51歳, 女性, 自殺企図により左前胸壁より縫針を刺入したとのことで, 胸部単純X-P, 胸部CTをとったところ心室壁を貫く伏針を認めた. 胸部CT上心嚢液を認めたこと, 発熱があり感染も考えられたこと, 伏針の移動により新たな損傷も考えられたことなどによりわれわれは人工心肺スタンバイのもと緊急手術を行った. 手術は胸骨正中切開にて心臓に達した. 心膜を切開すると, 左前下降枝の右室側約2mmの心室壁に針の頭を認め, その先端は横隔膜に達していた. 心拍動下に針を抜去し, 出血のないことを確認し閉胸した. 術後経過は順調で術後14日に退院となった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.23.369