エピルビシン動注療法と肝動脈塞栓療法が著効を奏したVp3肝癌の1例
門脈本幹に至る腫瘍塞栓合併肝細胞癌の予後は一般に不良とされている.今回我々は58歳男性例でリザーバーを装着した肝動脈カテーテルよりのepirubicin動注療法(20mg/1~2週)と肝動脈塞栓療法により主腫瘍・門脈腫瘍塞栓とも完全壊死に陥ったことを手術的に確認できた症例を経験した.本例ではepirubicin動注量に比例してアルファフェトブロテイン値低下しており,epirubicinの有効性が示唆されるが,その理由として,(1)肝動脈造影で著明なthread & streaks signを認め,門脈腫瘍塞栓までの薬剤到達が容易と考えられること,(2)SDI法での門脈腫瘍塞栓部の抗癌剤...
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Published in | 肝臓 Vol. 33; no. 7; pp. 565 - 571 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
1992
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.33.565 |
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Summary: | 門脈本幹に至る腫瘍塞栓合併肝細胞癌の予後は一般に不良とされている.今回我々は58歳男性例でリザーバーを装着した肝動脈カテーテルよりのepirubicin動注療法(20mg/1~2週)と肝動脈塞栓療法により主腫瘍・門脈腫瘍塞栓とも完全壊死に陥ったことを手術的に確認できた症例を経験した.本例ではepirubicin動注量に比例してアルファフェトブロテイン値低下しており,epirubicinの有効性が示唆されるが,その理由として,(1)肝動脈造影で著明なthread & streaks signを認め,門脈腫瘍塞栓までの薬剤到達が容易と考えられること,(2)SDI法での門脈腫瘍塞栓部の抗癌剤感受性が良好であったこと,(3)epirubicin代謝物質のepiru-bicinolが手術時腫瘍塞栓部に残存しており,長期の薬剤との接触が考えられる.今後もthread& streaks signを認める門脈腫瘍塞栓合併肝癌症例には肝動注療法を主体とした治療を検討していきたい. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.33.565 |