トキソプラズマ症を合併した皮膚筋炎の1例

下肢筋力低下を主訴として入院した78才の女性が, CPK高値,筋電図および筋生検所見から皮膚筋炎と診断された.同時にドキソプラズマ(TP)反応高値から活動性のTP感染が疑われ,まずピリメサシンおよびサルファ剤による治療を始めたところ抗体価の低下に平行してCPK値も改善した.しかし,まもなく皮膚症状,発熱,肺水腫が出現したのでプレドニソロン40mg/日を追加したところ症状は急速に改善し, CPK値もさらに低下した.多発性筋炎,皮膚筋炎とTP症の合併は欧米ではいくつかの報告があり,病因論的にも注目されている.多発性筋炎,皮膚筋炎の患者では,必ずTPに関する検索を行ない,必要に応じてTP症の治療を加...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 633 - 637
Main Authors 油谷, 浩幸, 亀田, 喜世子, 本田, 英輔, 高久, 史麿, 渋谷, 敏朗, 深川, 雅史, 井上, 聖啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1986
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.75.633

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Summary:下肢筋力低下を主訴として入院した78才の女性が, CPK高値,筋電図および筋生検所見から皮膚筋炎と診断された.同時にドキソプラズマ(TP)反応高値から活動性のTP感染が疑われ,まずピリメサシンおよびサルファ剤による治療を始めたところ抗体価の低下に平行してCPK値も改善した.しかし,まもなく皮膚症状,発熱,肺水腫が出現したのでプレドニソロン40mg/日を追加したところ症状は急速に改善し, CPK値もさらに低下した.多発性筋炎,皮膚筋炎とTP症の合併は欧米ではいくつかの報告があり,病因論的にも注目されている.多発性筋炎,皮膚筋炎の患者では,必ずTPに関する検索を行ない,必要に応じてTP症の治療を加えるべきであると考える.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.75.633