Spigelヘルニアの1例

原発性腹壁ヘルニアの中でもきわめて稀なSpigelヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は78歳女性.腹圧をかけた際に臍下4cmの高さで左腹直筋外縁に接する腫瘤を認めた.腹部CT上,左腹直筋外縁の腫瘤の存在部位に一致して腱膜の欠損を認め, Spigelヘルニアと診断,手術を施行した.外腹斜筋腱膜下にヘルニア嚢を認め,ヘルニア嚢を腹腔内に還納し,腱膜を腹膜とともに縫合してヘルニア門を閉鎖,さらに腱膜の脆弱部位をMarlex®meshで補強した. Spigelヘルニアは半月線と腹直筋外縁との間に発生する腹壁ヘルニアであり,本邦報告例が15例と非常に稀な疾患である.本疾患はCTによる腹壁の欠損の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 2; pp. 513 - 517
Main Authors 巽, 博臣, 染谷, 哲史, 戸塚, 守夫, 平田, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2000
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Summary:原発性腹壁ヘルニアの中でもきわめて稀なSpigelヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は78歳女性.腹圧をかけた際に臍下4cmの高さで左腹直筋外縁に接する腫瘤を認めた.腹部CT上,左腹直筋外縁の腫瘤の存在部位に一致して腱膜の欠損を認め, Spigelヘルニアと診断,手術を施行した.外腹斜筋腱膜下にヘルニア嚢を認め,ヘルニア嚢を腹腔内に還納し,腱膜を腹膜とともに縫合してヘルニア門を閉鎖,さらに腱膜の脆弱部位をMarlex®meshで補強した. Spigelヘルニアは半月線と腹直筋外縁との間に発生する腹壁ヘルニアであり,本邦報告例が15例と非常に稀な疾患である.本疾患はCTによる腹壁の欠損の有無が鑑別診断の上で重要で,治療法としてmeshを用いたヘルニア門閉鎖術が有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.513