第二世代HCV抗体陽性肝機能正常者のウイルス学的,臨床病理学的検討

第二世代HCV抗体(Ortho社ELISA法)陽性の肝機能正常者41名に対し,ウイルス学的,臨床病理学的検討を行い,HCV healthy carrierの存在の有無を含めてその実態を明らかにした.41名中,血中HCV RNAが陽性であったのは26例(63.4%)で,このうち25例は組織学的に慢性肝炎で,活動性の症例が5例あった.aspartate aminotransferase (AST), alanine aminotransferase (ALT)がともに正常であっても,AST/ALT比が1以下である症例では,その94.1%が血中HCV RNAが陽性で,88.2%が組織学的に慢性肝炎で...

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Published in肝臓 Vol. 35; no. 8; pp. 580 - 586
Main Authors 安居, 幸一郎, 坂本, 真一, 高見, 史朗, 香川, 恵造, 伊藤, 義人, 加嶋, 敬, 岡上, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1994
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.35.580

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Summary:第二世代HCV抗体(Ortho社ELISA法)陽性の肝機能正常者41名に対し,ウイルス学的,臨床病理学的検討を行い,HCV healthy carrierの存在の有無を含めてその実態を明らかにした.41名中,血中HCV RNAが陽性であったのは26例(63.4%)で,このうち25例は組織学的に慢性肝炎で,活動性の症例が5例あった.aspartate aminotransferase (AST), alanine aminotransferase (ALT)がともに正常であっても,AST/ALT比が1以下である症例では,その94.1%が血中HCV RNAが陽性で,88.2%が組織学的に慢性肝炎であったことより,HCV抗体陽性者において,AST/ALT比はHCV血症および肝病変の有無を予測するのに有用と思われた.血中HCV RNA量およびHCV genotypeの分布は,肝機能異常を有するC型慢性肝炎例と有意な差はなかった.また血中HCV RNA陽性例のうち,肝組織所見がnon specific changeで19ヵ月以上肝機能正常であった症例が1例存在し,いわゆるHCV healthy carrierと思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.35.580